特に何千、何万ものフォロワーに糞を撒き散らした、著名人の罪は思いと考えているんだけど、どうだろう? 大学教授、ジャーナリスト、ミュージシャン、お笑いタレント、皆が競い合うように「狼が来た~!」と叫び続け、多くの庶民たちはそれをRTボタンをクリックすることでさらに拡散した。
その多くが“善意”で広がったことを、覚えている人も多いと思う。
だから元々ヒネクレ者だったボクは、哀しいかな3月11日以来、いっそう善意を易々と信じることが出来なくなってしまった。
例えばこんなツイートを見たときがそうだ。
これは美人芸人として活躍する、おかもとまりさんのツイート。1万数千人のフォロワーを抱える人気者だけに、20人もリツイートしているけれど、ボクにはこのつぶやきの目的がくみ取れなかった。被災地石巻への救援物資を募っているらしいことはわかる。でも漠然としすぎていて、これで何かを送った人がいたとは思えない。はっきりした住所もかかれていないし、金田さんというのが何者なのかさっぱりわからない。
数日後に彼女は改めて、ブログ(→6/9の深夜 何の説明もなく問題にした記事を削除。消せばイイってモンじゃないと思うんですが・・・→6/10正午に大幅訂正されて再アップ)で同じ内容を訴えている。
少なくともどういった理由で野菜が必要とされているかは、140文字の制限があるTwitterよりわかりやすい。またTwitterでは苗字しかわからなかった金田さんのフルネームも記載されている。
ところが今回も住所は書かれていない。
幸いここに書かれた小学校名をグーグルで検索したところ、正しい住所は調べることが出来た。でもせっかくなら彼女も野菜を送る気なのだろうから、正確な住所くらいは記載したほうが、より多くの人が協賛してくれるんじゃないかな?と思った。※この件はTwitter等で指摘したためか、一日たってからおかもとさんのブログでも送り先の住所が追記された→6/9の深夜何の説明もなく問題にした記事を削除→6/10正午に情報を書き加えて再アップ
しかし届け先がわかっても、まだボクの心は晴れない。それは、そもそも避難所に生鮮食品を送って大丈夫なのか、という根本的な疑問があるからだ。避難所で野菜が不足しているのは、交通網が遮断されていることに加えて、保存することが難しいためだ。
じゃがいもや玉ねぎのように比較的長期保存がきくものもあるが、石巻に輸送する間に傷んでしまう野菜も多い。また避難所に満足な冷蔵設備があるとは思えない。
それにいくらおかもとまりさんが人気者で、数多くのブログ読者やTwitterのフォロワーがいるにせよ、各自がバラバラに送る野菜が、避難住民のニーズにこたえるものなのだろうか?
親戚に送る程度ならダンボール一箱程度で充分だろうが、200人分は莫大な量だ。
各々が勝手に選んだ種類も量も違う野菜が届いても、きっと調理場は一箇所だから、何種類もの料理を作り、200人に均等に分けることなどできないだろう。つまり農家や野菜市場勤務の人間の協力でもないと難しい。腐りかけの野菜や、とても人数分に満たぬ食材が届いても、被災者の皆さんはストレスが増すばかりなのではないだろうか?
彼女のブログエントリーやツイートが
そこでおかもとさんが下記のように書いてる富山さんという人のブログも参考にしてみた。
以前からお世話になっている富山さんさんのブログも是非参考にしていただきたいです。初めて知ったのだが、富山さんとは「大蛇が村にやってきた」という変わったコンビ名の吉本興業所属の芸人だった。 ブログを読むと、彼は数ヶ月にわたって被災地三県でボランティア活動を続けていて、その熱意には頭が下がる。ただし野菜の件に関しては、細かい情報は記されていない。
Twitterでも同内容のことを書き込んでおり、おかもとまりさんはそれを見て、自分も何か協力したいと考えたようだ。
「たくさんの方々に支援のお願いして…」って、言い方きついけどTwitterやブログで中途半端な情報を拡散させることを指すのかしら?
“金田さん”についてグーグル検索してみると、恐らくこの人だろうという人物はみつかった。
神戸淡路大震災をきっかけに立ち上げられたボランティア団体「すたあと長田」の代表で、現在送り先に指定された小学校を拠点に活動に励まれている女性が同じ名前なので、多分この人だろう。
(恐らく~らしい)(多分~だろう)と書いたのは、ウェブサイトにもブログにも一言も野菜を送って欲しいなどと書いていないので、同一人物なのか確定できないからなんだよね。
ちょうどおかもとさんがブログで野菜を送ることを呼びかけたのと同じ日に「緊急物資集め!」というタイトルのエントリーを書いているので見て欲しい。
金田さんが支援物資として呼びかけているのは、新品のタオルケットや衣類、食料品に該当するのはミネラルウォーターのみ。これからの季節需要が増すと思われる害虫対策グッズは、長年ボランティアに関わってきた人ならではのチョイスだと感心した。またアマゾンを活用してそれらの必要なグッズを送るようにもしている。
ところがおかもとさんは、最初に野菜を送る呼びかけをしたツイートの直後、このようなことも書いている。
夏服の件に関しては、その後何ら註釈が行われていないから、野菜と一緒に古着を送ったひともいるかもしれない。この件一つとっても、おかもとさんと金田さんのコミュニケーションが成立していないのは確実だよね。それに金田さんというボランティア活動家のツイッターアカウントを、おかもとまりさんがフォローしている様子もない。もしかすると、一度も直接連絡を取ったことがないのではなかろうか? これまで明らかになっている情報だけだと、おかもとさんは知人である富山さんから聞いた話を、確認せず、不用意にブログやTwitterで広げてしまったのではないかなと、思ったんだよね。もしも電話・メール等でしっかり連絡を取り合っていたにせよ、ボランティアに慣れた人の助言を受けた形跡は全くない。
悪いけどこんなはっきりしない情報を元に、支援物資を送るのってどうなの? というか、送った人いるのかな? 被災者は乞食じゃないんだから、腐る野菜とゴミ同然の古着を送られたら、腹を立てる人もいるのでは? だったら野菜の購入費・輸送費分をそのまま信用の置ける団体に寄付したほうが、フェアだと思うのだけど、間違っているかな?
最近知った二つの言葉がある。ひとつは「第二の災害」もう一つは「スラックティビズム」。 “善意”は、時に醜悪な結果をもたらす。
6/10追記
この件に関しては別にトゥギャッターにまとめも作成。
問題のエントリーのコメント欄等でも、情報に不備があるのではとの指摘もあった。
おかもとさんは、まず6/9に住所を書き加える。続いて送り先である金田さんと連絡を取った上で、ブログを6/10の午前中に修正。
何万なのか何十万なのかわからないが、彼女のブログの読者の全員が、この訂正記事を見るはずもないけど「トラック単位で送れるもの」という、真っ当な要請に変わっている。
まだ正確な情報が全て書き込まれているとはいえないものの、最初からこのような支援要請であれば、現場に混乱をもたらすこともなかったはず。